
アメリカ・ネバダ州のブラックサンド砂漠のど真ん中で、毎年夏の終わりの1週間だけ行われる「バーニングマン」というイベントが今年も開催されました。1986年から続くこのイベントは、8月の最終月曜日から9月の第一月曜日までの一週間行われ、5万人以上もの参加者が集まります。最近ではハイテク業界からも多くの関係者たちが参加し、注目を集めています。
バーニングマンではまず、何もない砂漠の真ん中に「コミュニティとアート、自己表現と自立のための一時的な都市」を作ることからスタートします。そこには、100以上の音楽ブースと500以上のドームが建てられ、参加者の多くが仮装とパフォーマンスを繰り広げながら思い思いの時を過ごします。
そして、このフェスの最大の特徴は、通貨が存在しないことです。料理を自分の表現としている人が、みんなに食事を与え、音楽を表現とする人がみんなに音楽を与えるというギブ・アンド・テイクの精神で成り立っています。
バーニングマンは本当に自由なイベントで、参加者に課せられているのは「No Spectators(傍観者になるな)」という合い言葉の下、10個のルールのみです。
1. 誰にでもオープンであること
2. ギフト文化の推進
3. 商業主義から脱却すること
4. 徹底的に自立すること
5. 自己表現を究めること
6. ともに協力すること
7. 社会人としての責任を果たすこと
8. あとを残さないこと
9. 参加すること
10. 現場での体験を大事にすること
イベント中は何よりも”アート”や“表現”が優先され、徹底的に自由な反面、参加者は自分の責任を全て背負い1週間を過ごします。
会場は砂漠ということもあり、外部の世界からはほぼ遮断されています。電気、水道、ガスといったインフラはなく、主催者から、環境保護の観点から簡易トイレと食料の鮮度を維持するための氷のみが提供されるだけです。
一週間後、巨大な人型の造形物「ザ・マン(The Man)」を燃やし、発生したゴミは一切残さずに持ち帰って、バーニングマンは終了します。
ここからは過去に行われた『バーニングマン』の様子を撮影した写真を紹介します。撮影したのは写真家”トレイ·ラトクリフ(Trey Ratcliff)”氏。彼のレンズに映し出された光景はまさに、世界最大のバカ騒ぎであるとともに、まるで映画の世界のような不思議な空間が広がっています。
All Photo by Trey Ratcliff